脳の老化に対応
脳の老化に対応
速読法と速聴には大きな違いがある
脳力開発の方法でよく知られているものに、速読法があります。文字どおり、文章を速く読んで理解する訓練法です。普通の日本人が読むことのできる文字数は1分間に約600字前後。対して、速読法をマスターした人の中には、1分間で1万字とか2万字くらいの文章を読解できる人もいると言われます。ただし、一般的な速読法のマスターでは「1万字を読むのは不可能である」と、教育学博士で筑波大学の佐藤泰正教授(現・東京文化短期大学副学長)は、眼球運動理論から断言しています。しかし、マスターすれば、短時間に多くの情報を頭脳にインプットできるという点は、速聴と似ているかもしれません。
速読の訓練をすると、大脳はそれに応じて通常の3倍程度まで速読ができるようになります(1分間に約1800字)。これは、脳が新しく与えられた環境に順応し、速読力という名の潜在脳力が開発されたということです。それ以上の速読となると、大脳の処理方法が「パターン認識」という処理に変わり、写真同様、脳内に文章全体を写し込むようになります。これでは文章の内容は理解するまでに至りません。マスターするにも程度問題があるのです。 速読法の最大のネックは、マスターするまでのプロセスがかなり単調であり、面白みに欠けること。苦痛を伴った努力が必要になり、よほどのモティベーションがなければマスターできないのです。実は、速読と速聴との大きな違いはここにあるのです。
速読力をバックアップする聴覚刺激
速聴は速読法とは違い、苦痛を伴った努力とは無縁です。それどころか、速読力にも有効なことが解っています。 速読法にはもう1つの問題点として、年齢的な限界があります。大脳のパターン認識処理で成り立つ速読法は、脳内でのプロセスが複雑なため、どうしても脳の老化に伴って、その脳力が衰えてしまうのです。速読の天才とされる人の多くが、少年少女で占められていることがその証拠。
速聴は、耳から入る高速音声が聴覚刺激となって、ウェルニッケ中枢に働き、より多くの情報を瞬時に理解できるようになるシステムです。すると、大量の文章もかなりの速さで理解できるようになります。しかも、パターン認識のように複雑な処理を脳に求めないので、高齢者でも落ち込みは少ないのです。速読から速聴への応用は困難ですが、速聴から速読は容易に可能です。具体的には、「逆聴」(38頁参照)という方法があります。
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